パスポートの力
MBAプログラム在籍中、そして修了した今でも、国籍の異なる友人たちと集まると、よくパスポートとビザの話になる。
そこで決まって、「日本のパスポートは世界的にみても強力だから羨ましい」と言われる。
日本人と話している時、この手のことはあまり話題にはならない。多国籍の友人との間で上記のようなことを言われると、なんと反応するのが良いか、正直戸惑うところがある。

実際のところ、どの国のパスポートを持つかによって、国境を超えた移動の難易度は大きく変わる。
私が通ったImperial MBAプログラムでは、グローバルな視点を育てるという目的で、イギリス国外へ赴く機会が何度かあった。行き先はフランス、ノルウェー、スウェーデン、ブラジルなどなど。。
日本のパスポートを持つ私は、いずれの国についても、渡航のためのビザを別途取得する必要はなく、パスポートのみを持って参加することができた。
しかし、周りを見てみると、渡航用のビザを申請する同級生は決して少なくなく、申請しても必ずしも希望通りのビザが承認されるわけでもない場面を何度か目にしてきた。
例えば、インド人同期はというと、パリで行われる交換留学プログラムに参加するために、シェンゲン・ビザを申請していた。
申請のためには、ビザが必要である目的はもちろん、パリでの滞在先や行き帰りの航空券の情報、さらには個人の銀行口座の残高状況や、これまでの職歴などについても提出する必要があるらしい。彼らがMBAのグループワーク後に夜な夜な必要な申請書類を大量に印刷している姿を目にした。また、申請については申請先の国の大使館との面談をセットする必要あるらしく、この枠がなかなか取れないとぼやいていたことを覚えている。


必要な申請書類を揃えて、ビザ申請面談をセットしても、結局ビザ発行まで辿り着けなかったり、発行されても有効期間が希望よりも短縮されるケースもある。しかも、仮にビザが発行されなかった場合は、当然ながら生じた費用は返ってこない。

ビザの発行有無について、常にヒヤヒヤしている様子を見ていて、当時は辛いものがありました。
なお、シェンゲン・ビザが発行されると、シェンゲン協定国への出入りが、許可された期間については基本的に自由になる。
なので、フランスでの交換留学プログラムを終えてから、少し足を伸ばしてイタリアへピザを食べにいくことやオランダへチューリップを見にいくことも可能になる。シェンゲン・ビザを手にした友人に羽が生えて、2ヶ月ほど複数のシェンゲン協定国を縦横無尽に旅していた話を聞くのは微笑ましかった。


他方で、複数の国のパスポートを持つ友人のケースも面白くて印象に残っている。国籍や市民権の有無から、3カ国のパスポートを持っている友人は、赴く国によってパスポートを使い分けていた。欧州大陸へ旅行するときはドイツパスポートを、祖国へ帰るときはそ祖国のパスポートを、遠距離を旅するときはイギリスパスポートを。。。といった具合だ。

それぞれのパスポートの更新の手続きがあるから、それはそれで管理が大変そうだなぁと。
どこの国のパスポートを持つかによって、移動のしやすさは大きく変わる。
日本人の中にいるだけでは分からない感覚を、多国籍の友人たちの経験から覚えることができる。そして、日本のパスポートを持つことで得られる当たり前は、他の国の人の当たり前では決してないのだなと実感できる。
それならば、今ある当たり前に感謝して存分に活用し、ずっと当たり前であるように、個人レベルの努力をしたいな。。。としみじみと感じるところである。


