フランス・ニースへのラグビー旅
にわかファン、空を飛ぶ
2019年、ラグビーW杯が日本で開催されたことをきっかけに、日本中がラグビーに熱狂しました。
にわかファンが増えたと言われたこの年に、例に漏れず、私も主人もにわかファンになりました。当時は連日テレビの前に座り込み、画面の端に出るルール解説を見ながら、よく理解していないなりに一生懸命に日本代表を応援していました。ラグビーのフェアプレーの精神の尊さに感激しつつ、必死の肉弾戦を手に汗を握りながら見守った日々でした。
その4年後である2023年、ラグビーW杯がフランスで行われました。
これはにわかファンの名に懸けて、応援しないわけにはいきません。しかし我が家では、渡英したばかりでまだテレビを購入していなかったので、家の近所のスポーツパブで観戦するという選択肢しかありませんでした。
…これでは、うさこが周りのお客さんと殴り合いの喧嘩になってしまうかもしれない(汗)
それでも、しっかり日本代表を応援したい!!
ということで、急遽手配しました、日本vsイングランドのチケット@ニースを。
こうしてチケットを片手に、夫婦でいそいそフランス・ニースに飛びました。
フランス・ニースへ上陸
ロンドンからニースまでは、ドイツ・フランクフルト空港でのトランジットを挟んで約4時間。到着したフランス・コートダジュール空港は、W杯一色になっていました。
何はともあれ、まずは腹ごしらえ。空港から市内に移動し、じわじわと海岸に近づく途中で見つけたおいしそうなスペイン料理のお店に入店しました。流石、海の近くということもあり、魚介類が入ったパエリアは絶品且つボリューミーでした。
お腹いっぱいになった後は、夜の試合までニース市内を散策を。
吸い寄せられるかのようにプラージュ・ブルー・ビーチへ行きました。この日はお天気にも恵まれ、海岸には多くの観光客で賑わっていました。流石に9月の海に入っている人は少なかったものの、多くの人が小石のビーチで日光浴を楽しんでいました。青い海も非常にきれいで、ニースが欧州の人たちのリゾート地になっていることに納得です。
既に、日本とイングランド代表のラグビーユニフォームを着ている人もちらほらいて、気合の程が伝わってきました。
この後、バスに揺られてシャガール美術館にも行きました。1973年、シャガールの存命中に開館したこの美術館は、小高い丘の上に位置しています。同氏が1985年に亡くなった後も、その子孫の協力のもとで作品収納数は増え、比較的小規模な美術館ではあるものの、窓一面のステンドグラス『天地創造』などうっとりとする作品も多く、見ごたえがあります。
特にステンドグラスの作品は濃い青色を基調にしているものが多く、美術館の外の喧騒を忘れさせてくれるようでした。
ただ周りを見渡すと、ラグビーの試合までニース観光を楽しみたいと考える人がほとんどのようで、日本代表の赤と白のユニフォームが映え映えでした(笑)
いよいよ日本代表の試合へ
ニース観光に大方満足したら、宿泊予定のホテルにチェックインし、にわかファンとして応援の準備を整えます。私も満を持して日本代表のユニフォームに着替えました。
この日の試合のキックオフは21:00だったので、19:00過ぎには試合の行われるアリアンツ・スタジアムへ。
私たちが着く頃にはスタジアムのエントランスには既に人だかりができていました。一度会場に入れば、出店も数多くあり食事には困りませんでしたし、公式グッズもしっかり販売していました。
そして、ラグビー観戦といえばやっぱりビールです。私たちは自分たちの観戦席を確認した後にスタジアム内の売店に並んだのですが、周りのサポーターが信じられない量のビールを購入していくのです!私から見れば、その購入量は異常で、一人あたり500mlのカップを5本くらいが飛ぶように売れていくのです(笑)
しかも、彼らが購入していくビールは、あのアサヒビールのスーパードライです。2019年のW杯日本大会でビールの売上が当初の想定を大きく超えたことを受け、今回アサヒビールはフランス大会のワールドワイド・パートナーになっているのです。周りのサポーターが「美味しい。美味しい。」と言ってどんどんカップを空けていく様子は見ていて嬉しかったです!
まさかフランスで、日本代表を応援しながらスーパードライが飲めるなんて!感激よ!
予定通り、21:00にキックオフ。
文字通り、手に汗を握りながら応援しました。周りには日本人サポーターも多く座っており、何度も一緒に「ニッポンコール」をしました。隣に座っていた陽気な英国紳士は、イングランドが得点するともちろん大歓声を上げていましたが、日本のプレーについても「素晴らしいっ」とずっと言っており、敵味方関係なく、一丸となって楽しむことができました。
激闘の末、12-34でイングランド勝利という結果になりました。前回の日本大会で準優勝だったイングランド、やはり強いんだなと感じました。
ただそれよりも、これほどまでに激しく体がぶつかり合うスポーツなのに、試合が終わればノーサイドで対戦国同士が称え合っている姿が、私に持っては印象的でした。
最後に、日本代表選手全員がフィールドを一周して観客席に対して挨拶をしていました。これまでにテレビやネットを通して知っていた慣例とはいえ、フランスで日本らしさに触れることができ、私自身はとてつもなく感動しました。
アスリートの世界は特にそうだと思いますが、選手たちは対戦相手のデータを徹底的に分析して、それに対応できるように何千時間も準備して、当日たった数時間の試合に臨みます。ちょっとしたミスが試合の勝敗を決してしまう時もありますし、国の代表となればプレッシャーは想像を絶するものだと思います。
私は今回、初めてラグビーの試合を生で観ましたが、上記のようなことに思いを馳せながら、目の前を歩いていく日本代表チームのことがとても誇らしかったです。
そして、夫婦ともに興奮冷めやらぬうちに、ロンドンに戻ったのでした。