イノベーション

Deep Tech Innovationに夢中になった1週間

usako0606

MBAが本格開始してから約1ヶ月が経ち、ようやく新しい生活リズムが整い出したところで、当校の目玉カリキュラムの1つであるImperial Innovation Challenge (以下IIC)という1週間プログラムに参加してきました。

このIICですが、メインキャンパスであるSouth Kensington Campusではなく、White City駅から徒歩5分の場所にあるWhite City Campusで行われました。いつも活動している環境とは異なっていたので、これもまた新鮮でした。

ハード・ソフトの両面において、個人的に非常に学びが多い1週間だったので、自身の備忘も兼ねて記事として整理してみたい思います。

Imperial Innovation Challengeとは何か

このプログラムはstem(Science, Technology, Engineering, Mathematics)に強みを持つ当校らしい取り組みで、日夜、研究・実験が重ねているDeep tech研究者とタッグを組み、彼らの研究・実験内容の実用化・商業化に向けてビジネスの側面から試行錯誤します。まさにDeepTechイノベーションに特化したプログラムです。

MBA生は5−6名で1つのグループを構成し、1週間という短い時間でDeep Tech を理解し、実用化・商業化に向けてビジネスモデルや実用事例、予測される獲得収益などの具体的なアイディアを練り、最終的にはあたかも投資家が目の前にいる前提で教授陣の前でプレゼンを行います。

プレゼン内容は教授陣によって評価され、成績がつけられるという流れになっています(成績上位3グループは表彰の上、ちょっとした賞金も出ます)。

Deep Techとは

ディープテックとは、特定の自然科学分野での研究を通じて得られた科学的な発見に基づく技術であり、その事業化・社会実装を実現できれば、国や世界全体で開発すべき経済社会課題の解決など社会にインパクトを与えられるような潜在力のある技術

しかし、事業化・社会実装までに長時間を要すること、多額の資金が必要であること、既存のビジネスモデルを適用できない…といった特徴があり、自然体ではイノベーションの循環が起きにくい。ただ、この循環が実現できれば社会的課題の解決に資することから、支援する必要性が高い。

ー経済産業省「ディープテック・スタートアップ支援事業について」令和5年2月資料より

新しい視点に触れる

私が関心を持ったDeepTechイノベーションは、プラスチックの処理方法に関するものでした。うまくいけば、国際連合が掲げるSDGs(Sustainable Development Goals=持続可能な開発目標)に直接的に貢献できるものと考えられます。

私はこれまで既に出来上がっている技術を如何に利用するかという観点から、どうしたら金融機関の立場でイノベーションを促進できるかを考えてきました。この取り組みでは、最終的にはイノベーションの商業化について諸提案を行うものの、技術そのものを生み出す過程も少しだけ垣間見ることができ、これまでにない視点に触れることができました。

スキルアップできたもの

この1週間で伸ばすことができたスキルは、圧倒的にTeamworkLeadershipだと感じています。

私にはscienceバックグラウンドが一切ないので、Deep Techイノベーションを理解する上で突然出てきた化学記号や(日本語であっても聞き慣れない)専門用語に始めは抵抗感がありました。しかし、タッグを組んでいる研究者や(バックグラウンドのある)グループメンバーの助けを借りて、何とか技術を最低限理解することができました(笑)

グループメンバー全員においてイノベーションの基本的な理解ができれば、いよいよ商業化に向けてグループでのディスカッションが始まります。

グループによってテーマ、メンバーの顔ぶれ、熱量が大きく異なり、グループによっては激しいディスカッションがなく、スムーズで平和な1週間を過ごしたところもあったようですが、私が所属していたグループは全員がそれなりにしっかり自己主張をするタイプのメンバーが多かったため、1週間を通してディスカッション続きでした。

うさこ
うさこ

それはもう…連日ヘトヘトになるまでに(笑)

Teamworkを考えてみる

ただ、日々の疲れの中にも常にそれなりの爽快感がありました。何故だろう…と考えてみたところ…

グループディスカッションを続ける中で、徐々に各メンバーの気にするポイントや拘り、得意不得意が徐々に何となく分かってきて、例えば●●さんを中心に会話する時は■■■の部分については丁寧に話そうと言った心構えができるようになり、段々とディスカッション内容をまとめられるようになったこと。

ディスカッションに先立って簡単な叩き台を用意し、これをベースにメンバー全員を巻き込みながらディスカッションが少しずつスムーズに進むようになったこと。

メンバー各人の意見に対して丁寧に耳を傾けかつ確実に伝えたいことを理解して、ディスカッションを重ねたこと。要は、全員がしっかりと貢献できたこと

…などが挙げられると思います。特に最後の点は個人的に1番大きな理由だと思っており、この1週間は自分が進学してからもっとも頻繁かつ長く発言し続けた期間で、なおかつそれが歓迎され要所要所でグループに貢献できたと感じることができたからだと思います。

意見を発信する人、反対する人、まとめる人、違う論点を入れてくる人、全体像を把握している人、詳細を気にする人…それぞれの良さを活かしてteamworkに励んだ怒涛の期間でした。

Leadershipについても考えてみる

またLeadershipとは、何だろうと考えた1週間でもありました。1人がぐいぐいteamsを引っ張ったとしても、他のメンバーが賛同しなければ私のグループでは何も進まなかっただろうなぁと振り返ってみて思います。(全メンバーが主張強めなので反発もその分強く出ます笑)

全員の視点や発言に気を配り、その上でメンバー全員がそれなりに納得する方針を決めて、全員が貢献できるようにグループを引っ張っていく…私のグループのリーダー的存在感のあるメンバーは自然とそれができていたような気がします。

会社などの上下関係が既にある組織では、下の担当者が上の方針や指示に従いやすい環境が整っていますが、今回のようなMBAのグループワークでは全員が平等な立場にあるため、ヒエラルキーに基づくLeadershipは機能しません。グループメンバーと完全に平等な立場にある時、どのようなLeadershipが適切に機能するのか、肌感覚で学ぶことができたと思っています。

いざプレゼンへ!

時間が経つのは実にあっという間で、気が付けば翌日には教授陣の前でグループプレゼンをしなければ…という状況に追い込まれていました。クラブ活動などの予定があり基本的に居残り作業はしたくないメンバーが大多数ではあるものの、今回ばかりはある程度の居残り準備は覚悟して、団結して対応しました。

私のグループでは、各メンバーが数枚のPPTスライドを担当し全員が発表するスタイルを取りました。プレゼン慣れしているメンバーの話し方や立ち振る舞いは、練習している時点で非常に参考になりました。

いざ迎えたプレゼンでは、持ち時間以内に伝えたいことを伝えきり、投資家を装う教授陣の質問に応答し、メンバー全員がこの1週間の成果ついて納得することができました。

その結果として、プレゼンを行った全13グループのうち、私が所属しているグループが2位の成績を評価して頂くことができました

ちょっとばかり賞金も貰えるそうなので(いつ笑?)、受け取ったらグループで美味しいごはんでも食べに行きたいと思っています。

今思うこと

個人的にはこのIICからは、ハードスキルよりも(teamsworkやleadershipといった)ソフトスキルを学んだと思っています。

「自分のいわば不得意分野であったとしても、仲間と協力し補完しながら何かしら決めて進めて、そして成果物を出していく」…その一連の流れに1週間をかけて全力で取り組むためのプログラムなのだと自分なりの理解をしています。

「うさことはとてもワークしやすかったよ、ありがとう。是非次も一緒にワークしたい。」と言ってくれるメンバーもいてくれました。実は私としては、このコメントを最も嬉しく感じました。

旦那氏
旦那氏

連日疲れてそうだったけど、なんかワクワクして見えたよ。

うさこ
うさこ

そうなの、大変だったけどIICの1週間はとても楽しかったの!全力で参加してよかったよ!

ABOUT ME
うさこ
うさこ
七転八倒するMBA駐妻
メガバンクと国際金融機関でファイナンス・オフィサーに従事した後、夫の英国赴任に帯同。
キャリアアップへの闘志を燃やし、トップビジネススクール進学に向けて大奮闘。 2024年秋からImperial College Business Schoolへ進学。
最近は何気におしゃれに気を使い始めた30代の駐妻。
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