MBA奮闘記

結局、MBAとはなんだったのか

usako0606

2025年8月末、1年間にわたる私のMBA学生生活が終わりました。実は11月後半にすべての履修科目の最終成績が発表されて、無事に修了確定・学位を受け取ることができ、今はほっと胸を撫で下ろしているところです。

これでまた1つ、やりたかったことが完結したわけで。ほっとしつつも、少し寂しい気持ちになったりしています。

そしてMBAが完結した今だからこそ、考えるのです。

「結局、MBAってなんだったんだろうか」と。

MBAは戦略的な「余白期間」

よく「MBAはキャリアを加速させるツールだ」と言われます。確かに知識やネットワークを通じて、キャリアの可能性が広がることは事実で、そういう意味でキャリアを加速させられると思います。

しかし、私自身の答えは少し違います。というのも、私にとってのMBAは、社会人を経験した自身が、もう一度、自分の学び・キャリア・そして人生そのものを時間をかけて見直すことができた、いわば自分とじっくり向き合うための戦略的な「余白期間」になったからです。

もちろん、上記の私の考えに当てはまらない人もいると思います。今一度アカデミックを徹底的に強化したくて勉強漬けになる人もいれば、日々の仕事で凝り固まってしまった心身の休息に充てる人もいます。純粋に学生生活を謳歌し、多国籍の友人をつくることに全力を注ぐ人もいます。私のMBA同期を見ていても、1年間の時間の使い方は人それぞれで、時に面白く同期の様子を観察していました。

要は、MBAとは「成果を保証してくれる場所」ではなく、各人が「自分自身にとっての意味をつくり上げる場」なのだと思います。

私が得たもの

この1年間を振り返ると、私が得たものは大きく以下5つに集約されるように思います。

1.日本人としてのアイデンティティを認識できたこと

MBAを通して気がついたのは、「自分が何者か」を問われる瞬間の多さです。クラス討論で日本の立場を問われたり、国際問題に関する議論で「日本ならどうする?」と聞かれることもあります。誰でも知っている日本企業の経営戦略が授業のケーススタディの題材として取りあげられたことは、一度や二度ではありません。

そうしたとき、自分の言葉で考えを説明できることの重要性を痛感しました。母国の外で生活するからこそ、日本人としてのアイデンティティをより強く意識することができました。

2. 自分のやりたいことを、最も明確にできたこと

MBA前にもキャリアの方向性を考えたことはありましたが、どこか抽象的で曖昧でした。膨大な課題に向き合い、多様な人と議論し、時にはもやもやを感じながらも内省を続けた結果、自分がこれから何を成し遂げたいのかが、これまでになくクリアになりました。

1年を通してMBAのキャリアコンサルタントやキャリアの先輩達と会話を重ね、ようやく自分が何をしたいのかを、しっかりと言語化できるようになったと思います。

3. グローバルスタンダードにおける自身の立ち居振る舞いを磨く

MBA在籍中に経験した異文化の中での議論や交渉は、想像以上に難しいと感じたものもありました。自分の意見をどう伝えるか、相手の文脈をどう読み取るか、時に衝突をどう乗り越えるか…。

各種グループワークでは、「ここまで自分の意見を強く主張したら周りは私をどのように評価するか」、「この膠着状況を解消するために、ちゃぶ台をひっくり返してみたらどうなるか」、「私がこの課題をリードする場合、うまく周りをまとめられるか」等、日々の実験を積み重ねて、「自分の主張はしっかりしつつ、周りの意見をそれぞれ一定程度取り入れながらリーダーとして落としどころを全員で模索する」という私なりの立ち居振る舞いを磨くことができたと思います。

うさこ
うさこ

小さなことですが、イギリス人のチームメンバーから「うさこのリーダーシップスタイルは一緒にワークしやすいよ」と言って貰えて嬉しかったことを、今でも覚えているよ。

4. 友の輪が大きく広がったこと

世界中から集まったMBA同期生は、年齢も文化も職業経験もまったく異なる存在です。最初は「本当に理解し合えるのだろうか」と不安でしたが、課題に追われ、共通の壁にぶつかり乗り越える中で、仲間意識が芽生えました。

MBAが修了した今では、皆それぞれ別の方向を向いて歩き出していますが、ふと思い立った時に気軽に連絡を取ることができる友人が世界中にいることには、心が温まるものがあります。

5. 家族の思いやりの尊さを実感できたこと

MBA学生としてのロンドン生活は一見華やかに聞こえるかもしれませんが、怒涛の1年間で直面した現実は決して華やかではなく、まさにどろんこでした笑。

特にMBA開始直後〜3ヶ月間は終日core moduleが組まれるスケジュールで、授業後にstudy groupメンバーと膝を突き合わせてグループ課題をやっていたので、連日帰宅は夜遅くになりました。本当は家族の夕食を作りたいのにエネルギー切れで作れない日も多かったです。

そんな時に、仕事を終えて帰宅した旦那氏が手早く得意の麵料理を作ってくれたり、速やかに私の好きなメニューをデリバリーでオーダーしてくれたり、彼自身も疲れている中でのサポートがとてもありがたかったです。深夜まで課題に取り組む時には旦那氏からバトンを受け継いだねこ氏が見守ってくれるなど、MBA は家族の絆とありがたみを再確認できるきっかけにもなりました。

ねこ氏
ねこ氏

夜の活動は得意なの。

投資の結果は…笑?

MBAは大きな投資です。金銭的にも時間的にも体力的にも、相当の負担があります。

うさこ
うさこ

そして、毎年少しずつ学費が上がっている…ブルブル

けれども、プログラムを修了したばかりの私個人の考えではありますが、MBAには十分な投資価値があると思います。

月並みな表現になりますが、私はMBAの1年間を過ごしたことで圧倒的に視野を広げることができました。上記の得られたもの5点を通して、自分が真にやりたいと思うことに国に関係なく挑戦できる勇気と自信を持つことができたからです。

確かに「やりたいこと」と「できること」は重ならない場合もあるので、適宜調整は必要ですが、「やりたいこと」に挑戦できる選択肢を持てることは、私にとっては十分価値のあるものです。

これからMBA進学を考えている方へ

もしMBAを検討しているなら、是非「自分はそこで何を得たいのか」を一度じっくり考えてみてください。

仕事上のポジションや年収の向上といった目に見える成果以上に、MBAは「自分の人生をどう歩みたいか」を見つめ直す絶好の機会になると思います。

得られるものは、きっと想像以上に大きいはずです。

ABOUT ME
うさこ
うさこ
七転八倒するMBA駐妻
メガバンクと国際金融機関でファイナンス・オフィサーに従事した後、夫の英国赴任に帯同。
キャリアアップへの闘志を燃やし、トップビジネススクール進学に向けて大奮闘。 2024年秋からImperial College Business Schoolへ進学。
最近は何気におしゃれに気を使い始めた30代の駐妻。
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