TOEFL or IELTS (その2)
MBA前哨戦である英語試験
英語を母語とせず、これまでに英語での大学・大学院教育を受けておらず、英語圏で長期にわたる業務に携わっていない日本人(ここにはもちろん私自身も含んでいます)である場合、MBAへ出願するにあたって英語試験を受けて必須スコアをクリアする必要があります。
トップビジネススクールにおいて求められるのは、TOEFL or IELTS or Duolingoでのハイスコアなので、入念な準備が必要になります。
前回は私が行ったTOEFL対策について書いたので、今回はIELTSについて触れていきます。
IELTS Academic
IELTSはInternational English Language Testing Systemの略称で、英語圏の国への留学・就労・移住を目指す人の英語力を測定するための試験です。IDP、Cambridge Assessment EnglishそしてBritish Councilの3団体が共同開発した試験で、受験者の下記の技能を測っていきます:
- Reading
- Listening
- Writing
- Speaking
各セクションは0~9.0点で評価され(0.5点刻み)、4つのセクションを総合してOverall Band Scoreというものが出てきます。ビジネススクールによってはこのOverall Band Scoreについてのみ目安スコアを提示するところもあれば、各セクションのスコアについても目安スコアを明確にしているところもあるので、各スクールのAdmissionページをよく確認する必要があります。
そういえば、IELTSって2種類なかったっけ?うさこがIELTSを調べ始めた時、何か言ってた記憶がある…
その通り!IELTSにはIELTS GeneralとIELTS Academicがあるのよ!
IELTS Generalは、英語圏での就職や移住を希望している人が、ビザ申請の際に英語力を証明するための試験なの。
IELTS Academicは、主に英語圏の大学・大学院に留学を希望する人が英語力を証明するための試験なの。
だから、MBAを目指す人はIELTS Academicを選択する必要があるわね!
IELTS Academic(以下、ILETS)のListeningとReadingの試験では、やはり専門的でとっつきにくい題材を取り扱います。例えば、中国の陶器の歴史、イギリスの貴族階級・称号の扱われ方、医学的実験の結果についての考察などについて出題されます。また、Listeningでは単語の穴埋め問題もあり、一度しか流れない音声を正確に聞きとり、適切な英単語(複数)を入力する必要があります。音声を聞きながらの作業になるので、少しでも集中力が切れるとその後の内容が頭に入ってこなくなるので、要注意です。
ListeningとReadingに続けて、休憩を挟まず、Writing試験が行われます。Writing課題は2つで、1つ目はグラフ・フローチャート・地図などを説明するものです。同じような表現を繰り返さず、適切かつ要点を漏らさず正確に英語で表現できるかが問われます。もう1つは、与えられたお題に対して自身の考えを回答するエッセイになります。基本的な起承転結はもちろん、自身の考えを事例などを用いて的確に伝えることがポイントになります。
IELTS受験当日の試験で何か最も辛かったかというListening⇒Reading⇒Writingの流れにおいて、一度もトイレ休憩を挟むことができないことでした。
一度、私はどうしても耐えられなくなった時があり、その時はReadingを通常の倍速で一通り解き、一時退出の簡単な手続きを取ってトイレに走り込みました。
試験内容はともかく、身体的になんてハードな試験なんだ…と心底思いました。
残りはSpeakingの試験です。IELTSのSpeakingは、試験官1名(音声レコーダー持参)とともに個室に入り、そこで1対1で話すという内容になっています。内容としては、「Youの自宅の最寄り駅はどこですか?」といった日常的な会話から、「最寄り駅周辺にはどのような人が住んでいて、街全体にはどのような特徴がありますか?」「もし●代の人がそのエリアに住むとしたら、どのようなことに気を付ける必要があるとアドバイスしますか?」と言うような、少々込み入った内容について質疑応答を行います。試験官との会話のラリーなので、受験者としては違和感は少ないと思います。なお、Speakingの試験時間は、IELTSの受験申し込みをするときに自身で空いている時間帯を選んで受験登録することになります。
Listening⇒Reading⇒Writingのセットの後にSpeaking試験を受ける人もいれば、上記セットの前に受ける人もいます。ちなみに私は前者でした。
なお、IELTSを選択した場合のトップビジネススクール(ごく一部)が求める参考スコアは下記の通りです。ILETSでOverall Band Score 7.5を獲得することが一つの目安になるかと思います。
ビジネススクール | 求められるIELTSの Overall Band Score | 各セクション内訳など |
London Business School | – | – |
Cambridge Judge | 7.5/9.0 | 最低 R6.5/9.0、L7.0/9.0、S7.0/9.0、W7.0/9.0 |
Oxford Said | 7.5/9.0 | 各セクション最低 7.0/9.0 |
Imperial College | 7.0/9.0 | 各セクション最低 6.5/9.0 |
Harvard Kennedy | 7.5/9.0以下は望まない | – |
Stanford | 7.0/9.0 | – |
Berkeley HAAS | 7.0/9.0 | IELTSよりもTOEFL受験の方が望ましい |
Columbia | – | – |
INSEAD | 7.0/9.0 | – |
私が使った対策本
TOEFLと同様、私はオフィシャル対策本のみを使用しました。これ一冊(フルテスト3回分)で全般的な雰囲気は掴めるので、初めの肩慣らしには良いかと思います。
追加で練習問題を解きたい場合には下記もお勧めです。テストが8回分あるので、毎回の受験前にリアルな感覚を掴む意味でも通して演習するのが、個人的には効果的でした。
受験会場
私はIELTSは2つの会場で受験しました。いずれも東京都での受験です。調べてみたところ、なんと以前私が気に入って選んでいた英検協会IELTSテストセンターでの受験は現在は選択できず、東京での受験会場は下記の2か所のようです。
- 英検協会IELTSテストセンター(東京駅前)
- バークレーハウステストセンター(市ヶ谷)
バークレーハウステストセンターでは1度しか受験していませんが、こちらは市ヶ谷駅から徒歩5分の場所にありとてもアクセスが良いです。他の会場にない特典としては、試験中の水分補給のために飲み物の提供があったり、自習室の利用が可能であったり、後日届く試験結果と共にスコアアップの手引きが同封されていたりします。詳細は下記のリンクからどうぞ。
特に、Speakingで自分の順番までの待機時間を有効活用するために、自習室を利用できることは非常にありがたかったです。また市ヶ谷駅の周りには飲食店・カフェも多いのでお昼休憩に困ることはありません。
さて、ここまでTOEFL or IELTS (1)(2)でそれぞれの試験の特徴を簡単に書いてきましたが、(3)ではどちらの英語試験も複数回受けてみた私自身の体験をベースに比較し、所感をまとめてみたいと思います。