MBA奮闘記

MBAの同期生が生きてきた、まったく違う現実

usako0606

前回の記事では、MBAの同期に連れて行ってもらったペルシア料理の美味しさについて書きました。美味しいご飯と楽しい会話で、レストランを紹介してくれた友と私たち夫婦の間で、穏やかな時間が流れていました。

けれど、食事の途中でふと話題が変わり、私は、同じ教室で1年間一緒に学んできた友の、全く知らなかった現実を知ることになりました。

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「今、家族と連絡が取れないんだ」

うさこ
うさこ

最近、彼女や家族と連絡取った?

そう私が軽く聞いたところ、彼が話してくれたのは、現在イラン国内で起こっている反政府デモの影響で、数日前からインターネットが遮断されているため、恋人とも、家族とも、友人とも、連絡が取れない状態が続いているということでした。

イラン国内で起こっているデモについては、ニュースで大々的に取り上げられており、事態は深刻さを増しています。このような現況について私たち夫婦は認識していましたが、彼の返答があまりにも現実的なトーンだったため、一瞬言葉が出ませんでした。

「心配だね」と声をかけると、彼は静かに「正直、こういうことにはもう慣れているんだよね」と言っていました。

慣れている、という言葉の裏にある経験を、私はどこまで想像できているのだろうかと思い、
正直、それ以上深く踏み込む言葉が見つかりませんでした。

奪われてきた選択肢の話

さらに彼は、これまでの進学の経緯についても少し話してくれました。

過去(と言ってもここ数年の話)にアメリカのビジネススクールに合格し、しかも学校側から奨学金まで獲得していたにも関わらず、ビザの申請が複数回却下され、結局入国することができなかったとのことです。

しかも、支払った入学手付金は返ってこなかったそう。。。

その結果として、ビザが発給されたイギリスに進学し、私と同じ教室でMBAを学ぶことになったそうです。

彼は、自分の境遇について多くを語るタイプではありませんが、いつも穏やかで落ち着いていて、たまにクスッと笑ってしまう面白い発言をする印象がある人です。

しかしそれは彼の表面的な部分で、1年間も一緒に学んできたのに、私はこの話をこの日まで知りませんでした。

自分の悩みが、急に小さく感じた

私はこれまで、

「MBAに受からなかったらどうしよう」
「就職活動、思ったようにいかないな」
「今日は予定していたこと全部できなかったな」

そんなことを悩みとして生活してきました。もちろん、それらが自分にとって真剣な悩みであることに変わりはないのですが。。。

しかし、MBA友である彼の話を聞いていると、選択肢そのものが国籍や政治によって制限される現実が、すぐ隣に存在していることを突きつけられた気がしました。

それでも彼は、

“I am resilient.” 

と淡々と言ってのけるのです。

この言葉に、何度理不尽な壁にぶつかっても、それを受け入れた上で、前に進もうとする強さ、「逞しさ」を感じました。

MBAで得た、もう一つの学び

MBAで学んでいると、国籍も、文化も、年齢も、考え方も、本当にさまざまな人と出会います。

ただ、それを「多様だな」で終わらせるか、一人ひとりの背景にきちんと向き合うかで、見える世界は大きく変わるように私は思います。

私自身はというと、誰かの人生を通して、自分がいかに限られた視点の中で物事を見ていたかに気づかされ、そして自然と、「この現実を知った上で、私はどうしたいのか」という問いを、自分に向けるようになっていると思います。

世界情勢の中で、自分と日本をどう位置づけるか

私は、ニュースで見るだけだった国際情勢が、MBAで学んだ経験を通して「同じ教室にいる誰かの現実」になる、、という体験をしています。

そうなると、世界で起きている出来事は、もはや遠い話だとは思えなくなります。

そして同時に、自分が日本という国に生まれ、どんな環境で育ち、どれだけ多くの選択肢を与えられてきたのかも、否応なく意識させられます。

MBAで学んだことで、私は世界を見る視点だけでなく、世界の中にいる日本、そしてその中にいる自分自身を、少し違う角度から見つめ直すようになった気がします。

あのペルシア料理の夜の会話と思考は、美味しかった料理の記憶とともに、今も私の心の中で存在感を放っています。

ABOUT ME
うさこ
うさこ
七転八倒するMBA駐妻
メガバンクと国際金融機関でファイナンス・オフィサーに従事した後、夫の英国赴任に帯同。
キャリアアップへの闘志を燃やし、トップビジネススクール進学に向けて大奮闘。 2024年秋からImperial College Business Schoolへ進学。 2025年夏に無事修了。
最近は何気におしゃれに気を使い始めた30代の駐妻。
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